
飲食店開業した後、ネックになるのが時間です。
開業当初はまだ来店客が少ないので何とか販促活動したいのですが、飲食店は兎に角時間を費やします。
営業時間と同じぐらい仕込み、後片付け、資材発注等々に時間を使う為、思うように販促活動ができません。
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売上が上がらなければ、スタッフを増やせません。仕方なく全部を自分でやろうとしても時間が足らずやりたい事の半分もできない事もあるでしょう。
飲食店開業における「時間の拘束」「体力消耗」「販促まで手が回らない」という点は、「開業後1〜2年以内に撤退する原因の大きな1つ」です。
目次
✅時間拘束の過酷さにより、軌道に乗る前に破綻する割合は?
● 一般的な統計(中小企業庁、飲食業関連団体より)
| 開業後経過年数 | 廃業率(目安) |
|---|---|
| 1年以内 | 約30〜40% |
| 3年以内 | 約70% |
| 5年以内 | 約80% |
→ 3年以内に7割が廃業。
その主因の一つが「体力・時間的限界」とされており、実際には 約3割以上の廃業者が「時間的拘束・人材不足・集客不足」の複合要因で撤退。
✅自分が自由に動ける「3店舗以上の経営体制」に達した割合と年数
● 3店舗以上を展開するまでに成功した割合(実例ベース)
| 飲食開業者全体(個人) | 3店舗以上に展開した割合 |
|---|---|
| 約100人中 | 3〜5人(=3〜5%) |
ほとんどの人が「1店舗運営で精一杯」で終わるのが現実です。
また、3店舗に到達するまでの年数は早くて5年、平均で7〜10年が必要。
✅【成功事例:3店舗経営に至った飲食店オーナーの共通点】
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 初期から人材育成を重視 | 自分が現場を抜けられる状態を意識的に設計(マニュアル・人材教育) |
| メニュー数を絞り仕込みを効率化 | オペレーションを単純化し、時間コストを抑えたスタイルを選択 |
| SNS・販促を他人に委託 | 開業時から販促はプロや外注に依頼、自分は経営と数値管理に集中 |
| 成長戦略を開業前に描いていた | 「1店舗目はモデル店」「2店舗目はレプリカ」「3店舗目で完全に現場離脱」など設計済み |
| 事業資金に余裕があった | 自己資金+融資によって運転資金6か月以上を確保。初期の赤字耐性があった |
✅【結論】
- 飲食開業者の7割以上が時間的・体力的・経営的に限界を迎えて3年以内に撤退
- その中で3店舗以上に展開して時間的自由を得たのはわずか3〜5%
- それが可能になるまで5年〜10年かかるのが一般的
- 成功する人は、「開業前からの事業計画と人材戦略」が明確
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「3店舗以上の展開に成功した実在事例」を業態別にご紹介。
いずれも「個人開業 → 多店舗化 → 経営者として現場離脱」の成功パターンです。
🔥【事例①】焼肉業態:『焼肉ライク』創業者のモデル(参考:西山知義氏)
● 成功ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スタート地点 | 1人焼肉のニーズを察知し、2018年に新橋で1号店を開業 |
| 差別化戦略 | 「ファストフード×焼肉」=1人1台無煙ロースターを導入し、低価格&高速回転型店舗を実現 |
| 人材戦略 | オペレーションのマニュアル化、1人で回せる設計、アルバイトでも高い再現性を実現 |
| 出店スピード | わずか3年で全国50店舗突破(※フランチャイズ含む) |
| 経営自由度の獲得 | 1店舗目から「多店舗展開前提」の設計。すぐに現場離脱。フランチャイズで拡大 |
✅ ポイント
1号店の時点で「スケールできる仕組み」が完成していたため、早期に多店舗展開 → 自由な経営スタイルを獲得
🍜【事例②】ラーメン業態:『一風堂』(創業者:河原成美氏)
● 成功ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スタート地点 | 1985年に福岡で1号店。調理への強いこだわりと清潔感ある店作りで話題に |
| 差別化戦略 | 「ラーメンは汚い・男臭い」という既存イメージを覆し、女性や家族連れにも人気獲得 |
| 人材戦略 | 早くから幹部候補を育て、現場を任せる体制を整備。調理技術も体系化 |
| 出店スピード | 数年で福岡→全国展開へ。現在は世界15か国以上に展開 |
| 経営自由度の獲得 | 3店舗目以降は「味と経営を分離」。味は弟子に、経営は自ら監督する立場に移行 |
✅ ポイント
店主の「味へのこだわり」と「理念教育」が両立。経営と現場の分離に成功
☕【事例③】カフェ業態:『猿田彦珈琲』(創業者:大塚朝之氏)
● 成功ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スタート地点 | 2011年、恵比寿に1号店を開業。俳優から転身という異色の経歴 |
| 差別化戦略 | スペシャリティコーヒーに特化。「たった1杯で幸せになるコーヒー」がテーマ |
| 人材戦略 | 接客・バリスタ技術を社内で教育。ブランド哲学の浸透を重視 |
| 出店スピード | 5年で都内中心に10店舗以上を展開 |
| 経営自由度の獲得 | 自身はブランディングや海外展開に注力。現場は幹部とスタッフに完全委任 |
✅ ポイント
ブランド価値=「創業者の世界観」が核。本人は早期に「ブランド管理者」に転身
📊【3事例の比較表】
| 業態 | 初期戦略 | 展開速度 | 現場離脱の時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 焼肉(ライク) | スケーラブル設計、無煙ロースター | 1〜2年で多店舗化 | 2店舗目以降即離脱 | フランチャイズ活用で急成長 |
| ラーメン(一風堂) | 清潔・女性向け戦略、理念教育 | 5年で全国展開 | 3〜5店舗後に離脱 | 味と経営の役割分担に成功 |
| カフェ(猿田彦) | ブランド体験の徹底 | 5年で10店舗 | 5店舗後に離脱 | 創業者の哲学がブランドに昇華 |
💡個人開業者が学ぶべきポイント
- 最初から「自分が抜けられる仕組み」を作る
- 現場スキルより“再現性”と“教育体制”に投資
- 1店舗目を“モデル店舗”と位置付ける
- ブランディング・商品力・利益構造を明確に
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