
はじめに|飲食店経営は「分かりやすい」からこそ危険
飲食店経営ほど、
事業モデルがシンプルで分かりやすい仕事はありません。
- 材料を仕入れる
- 調理する
- 提供する
- 代金をもらう
小学生でも理解できるほど、構造は単純です。
だからこそ、多くの人がこう考えます。
「自分にもできそう」
「努力すれば何とかなる」
「好きなことを仕事にしたい」
事業初心者に飲食店経営はおすすめしません。
理由は明確です。
リスクが高すぎるからです。
「リスクが高い」とはどういうことか
飲食店経営のリスクは、大きく分けて2つあります。
- 店が繁盛するかどうかのリスク
- 初期投資費用が高額であるリスク
事業経験がない人ほど、
この2つを 軽く見てしまう 傾向があります。
リスク①|店が繁盛するかどうかは「運の要素」もあり
飲食店が成功するかどうかは、
努力だけでは決まりません。
細かく分解すると、次のような要素が絡みます。
- 立地
- 周辺環境
- 人の流れ
- 競合店の出現
- 社会情勢
- 景気変動
- 天候・季節
- 流行
どれだけ良い料理を出しても、
自分ではコントロールできない要因が非常に多い。
事業初心者ほど、
「味が良ければ大丈夫」
「接客を頑張れば何とかなる」
と考えがちですが、
現実はそれほど簡単ではありません。
事業は「最初から成功する」と考えない方がいい
これは、飲食業に限らず
すべての事業に共通する大前提です。
- 新規事業は失敗する可能性が高い
- 試行錯誤を繰り返しながら形になる
にもかかわらず、
飲食店だけは 最初から成功を前提に計画されがちです。
理由は簡単です。
失敗できない金額を、最初に投資してしまうから
リスク②|飲食業最大の問題は「初期投資額」
飲食店経営における
最大のリスクは、初期投資費用の大きさです。
- 物件取得費
- 内装工事
- 厨房機器
- 家具・什器
- 開業前の人件費
- 広告宣伝費
少なく見積もっても
数百万円。
普通に考えれば、
- 500万円
- 700万円
- 1,000万円超
は珍しくありません。
それほどの失敗率なのに、なぜ投資額が高いのか
飲食業界には、
昔から言われている数字があります。
- 開業1年以内に廃業する店:3割
- 3年以内廃業する店:7割
と言われます。
これほど失敗率が高い業界で、
なぜこれほど大きな初期投資をするのか。
それは、
「飲食店はそういうものだ」
という 業界の常識 が、
外から見えにくいからです。
事業で一番大事なのは「再チャレンジできるか」
事業において、
本当に大切なのは何でしょうか。
売上でしょうか。
利益でしょうか。
いいえ。
失敗しても、もう一度挑戦できるかです。
- 1回目は失敗
- 2回目で改善
- 3回目で成功
これは、事業ではごく普通の流れで良い方です。
飲食店は「再チャレンジ」がほぼ不可能
飲食店事業が厳しいのは、
失敗すると次がないことです。
多くの場合、
- 開業資金=貯金+借入金
- 廃業後に残るのは借金
廃業した瞬間から、
- 借入金の返済
- 生活費の確保
が現実としてのしかかります。
再挑戦までに何年かかりますか?
考えてみてください。
- 数百万円の借入金を返済
- 新たに開業資金を貯める
その間、
- 家族の生活費
- 子供の教育費
- 老後資金
これらも同時に必要です。
再チャレンジできる余力は、ほぼ残りません。
「好き」だけでは乗り越えられない現実
飲食業は、
確かに魅力的な仕事です。
- お客さんの反応が直接見える
- 感謝される
- 自分の店を持つ誇り
ただし、
好きだから続けられる
好きだから成功する
という世界ではありません。
むしろ、
- 好きだから辞められない
- 辞め時を誤る
というケースも多く見てきました。
事業初心者に必要なのは「小さな失敗」
事業初心者に本当に必要なのは、
- いきなり大きく当てること
ではなく - 小さく始めて、失敗しながら学ぶこと
です。
- 初期投資が小さい
- 失敗しても立て直せる
- 改善を繰り返せる
こうした事業を経験してから、
次のステップに進む方が、
長期的には成功しやすいのです。
飲食店は「最後に挑戦する事業」でもいい
飲食店経営は、
- 事業経験を積んだ後
- 資金的余力ができた後
- 失敗しても生活が崩れない状態
で挑戦する方が、
圧倒的にリスクを抑えられます。
「最初の一歩」としては、
重すぎる事業なのです。
おわりに|飲食店経営を否定したいわけではない
誤解してほしくないのは、
私は飲食店経営そのものを
否定しているわけではありません。
ただ、
事業初心者が、
最初に選ぶべき事業ではない
という現実を、
冷静に伝えたいだけです。
事業は長距離走です。
- 一度で成功しなくてもいい
- 何度でも挑戦できる状態を守る
これが、
結果的に一番の近道になります。
小さく始め、失敗できる余地を残す。
それが、
事業初心者にとっての
最も合理的なスタートではないでしょうか。
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