
「定年=引退」はもう昔の話
かつて、定年退職といえば「お疲れさま、これからは第二の人生をゆっくり」といった時代でした。
しかし、今の日本ではその常識が崩れつつあります。
街を歩けば、スーパーのレジ、宅配ドライバー、建設現場、コンビニ、
どこでも60代・70代の方が元気に働いています。
総務省の「高齢者の就業状況(2024年)」によると、
- 60〜64歳の就業率:78.5%
- 65〜69歳の就業率:58.4%
- 70歳以上でも25%が就業中
つまり、60代以上の4人に1人以上が“今も働いている”のです。
では、彼らは「元気だから働いている」のか、それとも「働かないと生活できない」のか。
ここでは、統計データとリアルな声から、
“高齢者が働く本当の理由”を深掘りしていきます。
「働く高齢者」が増えている現実
内閣府の調査によると、
「働いている高齢者のうち、生活のためが理由の人は55.2%」。
「生きがい・健康維持のため」と答えた人は約40%。
つまり、
2人に1人は“経済的な理由”で働いているというのが現実です。
日本の年金受給額は平均で
- 男性:約14万円/月
- 女性:約10万円/月
ここから国民健康保険、固定資産税、食費、光熱費を引くと、
手元にはほとんど残らないという人も珍しくありません。
仕事を続ける60代のリアルコメント
■62歳男性(元・会社員/現在:警備員)
「年金は月に12万円。家賃と食費でほぼ消える。
妻が亡くなって一人暮らしだから、誰にも頼れない。
体が動くうちは働くしかない。
若い頃、もっと貯金しておけばよかったと、
毎朝通勤の電車で思う。」
→ “老後資金2000万円問題”は、もはや絵空事ではありません。
退職金や貯蓄が少ない人ほど、働き続けざるを得ない現実に直面します。
■68歳女性(元・専業主婦/現在:スーパーのレジ)
「旦那の年金が減って、私もパートに出るようになった。
最初は“気晴らし”と思ってたけど、
今は“生活費のため”が本音。
老後って、想像よりお金がかかる。
医療費、孫へのお祝い、電気代…。
正直、もう少し働くしかないね。」
→ 高齢女性の働く理由の多くは、「夫の収入減」「物価上昇」「年金の減少」。
現役世代が想像する以上に、“固定費の重さ”が現実を圧迫しています。
■70歳男性(元・建設業/現在:清掃業)
「定年の時、“自由だ!”と思ったけど、3か月で飽きた。
何もやることがない。人とも会わない。
清掃の仕事を始めて、ようやく“人の中で生きてる”実感が戻った。」
→ このタイプは「生活のため」よりも「生きがい型」。
身体を動かすことで、健康や社会とのつながりを保っているケース。
“働くこと=社会との接点”という精神的な側面も大きいのです。
■66歳女性(元・事務職/現在:カフェ店員)
「若い頃、貯金よりも“今を楽しむ”主義だった。
でも60を超えてみて、
“今を楽しむ”には“お金の余裕”がいることに気づいた。
もし昔に戻れるなら、少しでいいから“投資”をしておきたかった。」
→ 今の30〜50代に刺さる一言。
「投資=ギャンブル」と感じていた世代が多く、
その結果、資産が“働かないお金”のままで終わったという反省の声です。
■72歳男性(元・中小企業社長/現在:顧問・非常勤)
「会社は息子に譲ったけど、完全には引退しなかった。
現場に出てる方が落ち着くし、頭がボケない。
ただ、働けるのは“健康”があるうちだけ。
老後のお金より、健康こそ最大の資産だと今は思う。」
→ 経済的に余裕がある層でも、「健康」「社会とのつながり」を理由に働き続けています。
ここでも共通しているのは、“働く”ことが単なる生計手段ではなく、人生の延長線になっていること。
「もし昔に戻れるなら、何をしておくべきだった?」
実際に60代以降の方々に聞くと、多くの人が口をそろえてこう言います。
「もっと早く“お金の勉強”をしておけばよかった。」
ここで挙がった後悔の声をいくつか紹介します。
■後悔①:貯金しかしてこなかった
「銀行に預けてても、全然増えない。
“投資は怖い”って言葉に縛られてた。」
(64歳・男性)
→ 長期の資産形成を避けてきた世代ほど、
インフレや低金利の波に追いつけず、“預金貧乏”に陥っています。
■後悔②:家にお金をかけすぎた
「ローンに追われて老後資金が残らなかった。
“家は資産”と思ってたけど、今は負担。」
(69歳・男性)
→ 固定資産税・修繕費・リフォーム代…。
“住まいは資産”の考え方は、維持できる収入がある前提だったことに気づかされます。
■後悔③:健康管理を怠った
「医療費がこんなにかかるとは思わなかった。
体を壊した瞬間、仕事も収入も同時に失った。」
(67歳・女性)
→ 高齢になっても働ける人の多くは“健康”を保っている人。
お金より先に健康寿命の長さが経済寿命を決めるという教訓です。
■後悔④:夫婦の金銭感覚をすり合わせなかった
「夫が勝手に退職金を運用して失敗。
老後の生活が一変した。」
(70歳・女性)
→ 夫婦間でお金の話を避けた結果、老後に“価値観のズレ”が露呈。
今の30〜50代は、“家計のチーム運営”が欠かせません。
今の30〜50代がすべき「未来の備え」
これからの現役世代にとって、
“老後の安定”は会社や国が保証してくれる時代ではありません。
自分で備える力=「経済的な自立」が必須です。
① 貯金より「運用体質」を身につける
- NISA・iDeCoなど、税制優遇制度を使って資産形成を始める
- 毎月1万円でも「継続する習慣」が最強の武器
② 健康を“資産”と考える
- 生活習慣病の予防こそ、将来の医療費削減
- 「貯金1000万より、健康寿命+10年」の方が価値がある
③ “好きな仕事”を持つ
- 年金だけに頼らない「小さな収入源」を作る
- 趣味を仕事にする副業・講座・発信を若いうちに始める
④ 人間関係を育てる
- 独身・既婚問わず、老後に支え合える“人とのつながり”を残す
- 仕事以外の居場所を今から作る
「老後に働く」は不幸ではない。ただし“理由”が大事。
60代で働く人の中には、
「生活のため」「健康のため」「社会とのつながりのため」など、さまざまな理由があります。
けれど本当の分かれ道は、
“働きたいから働く”のか
“働かないと生きていけない”のか
という一点にあります。
今の30〜50代が、この先を後悔しないためにできること。
それは、「お金・健康・人間関係」を今から育てることです。
未来は突然やってきません。
毎月の積み重ねが、老後の“自由な働き方”を作るのではないでしょうか。
働く60代以降の背中には、若い世代が学ぶべき教訓があります。
それは「老後に後悔しない準備は、今からしかできない」ということ。
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