
「落ち着いた夫婦」ほど危ない?
結婚して10年、20年——。
家族としての形ができ、生活も安定してくる一方で、
気づけば「会話が減った」「ありがとうを言わなくなった」という声をよく聞きます。
かつては情熱的だった関係も、
年月とともに“習慣”や“役割”へと変わり、
そこに感情の温度差が生まれやすくなるのが現実です。
夫婦関係の実情データ、離婚を考えるきっかけ、
そして実際に「離婚したケース」「踏みとどまったケース」を紹介しながら、
長年連れ添う夫婦がどうすれば“関係を再構築できるか”を考えてみませんか。
データで見る「離婚を考える夫婦のリアル」
厚生労働省の統計によると、
日本の離婚件数は年間 約17万件(2024年)。
このうち、結婚20年以上での離婚、いわゆる「熟年離婚」は 全体の約18% を占めます。
また、NHK放送文化研究所の調査によると、
「現在の配偶者との関係に不満がある」と答えた人は以下の通り。
- 30代:26%
- 40代:33%
- 50代:38%
- 60代:41%
さらに、「離婚を一度でも考えたことがある」と答えた人は 男女ともに約45%。
つまり、2人に1人は“離婚”を頭に浮かべた経験があるということです。
離婚を考える“きっかけ”ランキング
1. 会話がなくなった(心理的距離の拡大)
「家にいてもほとんど会話がない。
LINEも業務連絡みたいな内容ばかり。
何か話しても反応が薄くて、もう話す気力がなくなった。」
(50代男性・結婚22年目)
沈黙は喧嘩よりも関係を冷やします。
相手に興味がない、あるいは“期待を捨てた”とき、夫婦関係は静かに壊れていきます。
2. 相手の無関心・無配慮
「体調が悪くても“お大事に”の一言もない。
夫婦って、こんなに他人だったっけ?って思う瞬間がある。」
(48歳女性・パート勤務)
結婚初期にあった「思いやり」は、
長年の生活の中で“慣れ”や“当たり前”に変わります。
やがてそれが「感情の鈍化」となり、相手の存在を軽視するように。
3. 子育て・介護・家事の分担不満
「子どもが熱を出した時、どっちが病院に連れて行くかで喧嘩に。
仕事の都合とか関係ない。“どっちが我慢するか”の押し付け合いになってしまう。」
(42歳男性・会社員)
子育て世代では、価値観の違いが衝突を生みやすい。
一方が“やって当たり前”と感じていると、相手の不満は静かに積もっていきます。
4. 経済的不安・金銭感覚の違い
「夫は貯金が好きで、私は旅行が好き。
“将来のために我慢”って言われると、息が詰まる。
お金の価値観って、こんなに違うんだって思った。」
(45歳女性・専業主婦)
金銭感覚は、愛情よりも現実を突きつけるテーマ。
特に50代以降は「老後資金」「介護」「子の独立」など、
人生設計のズレが離婚の引き金になることも。
5. 「相手に興味がなくなった」
「嫌いじゃないけど、好きでもない。
このまま老後までこの関係を続ける意味があるのか?」
(56歳男性・自営業)
恋愛感情の終焉は自然な流れ。
しかし、その後に“信頼関係”が築けていない夫婦は、
無関心という名の“静かな別居”に向かいやすい。
離婚の兆候|「そろそろ危険信号」と言えるサイン
- 相手に興味がなくなる(何をしても感情が動かない)
- 会話が業務連絡化する(「お風呂入った?」「ご飯ある?」だけ)
- 帰宅時間を合わせなくなる
- 休日の予定を共有しなくなる
- スキンシップが完全に消える
- SNSやスマホに秘密が増える
- 将来の話をしなくなる
これらが複数当てはまるなら、関係は冷却期に入っています。
ただし、「終わり」とは限りません。
“見て見ぬふりをやめる” ことが、再出発の第一歩です。
離婚したケース|「察してほしい」が限界に達した瞬間
ケース①:夫の無関心が決定打(結婚18年目・48歳女性)
「私が40℃の熱で寝込んでいても“夕飯どうする?”って言われた時、
あ、この人には何も期待できないって思った。
その瞬間、心がスッと冷めて、半年後には離婚届を出していた。」
このケースでは、“怒り”よりも“冷めた感情”が離婚を決定づけています。
配偶者の無関心は、“存在を否定された”と感じるほどの痛みを伴うのです。
ケース②:子育て終了後の“虚無感”(結婚25年目・55歳男性)
「子どもが独立した瞬間、妻と何を話せばいいかわからなくなった。
家の中が静まり返って、まるで知らない人と住んでるみたいだった。」
子育てを“共通プロジェクト”として夫婦関係が保たれていた場合、
それが終わると関係の軸が失われます。
「家族」という枠だけでは、夫婦は続かないのです。
踏みとどまったケース|“終わりそうな関係”を再生できた理由
ケース①:夫が変わったきっかけは「妻の沈黙」
「いつも文句ばかり言っていた妻が、
ある日から何も言わなくなった。
その“静けさ”が怖くなって、初めて自分の態度を見直した。」
(49歳男性・結婚20年目)
人は“声を上げているうちは期待がある”もの。
相手の沈黙は“諦めのサイン”。
その瞬間に危機感を持てた人だけが、再び関係を修復できる。
ケース②:夫婦で「ルールを作り直した」
「毎週金曜は2人で外食する、
年に一度はお互いのやりたいことを叶える、
そんな約束をしてから、少しずつ会話が戻った。」
(52歳女性・結婚23年目)
“夫婦=自然に続くもの”という幻想を捨て、
意識的に「関係を作り直す」ことで再生した例。
結婚年数が長いほど、再構築には“仕組み”が必要です。
改善のために今日からできること
- 「ありがとう」を言葉に戻す
→長年連れ添うほど、感謝を口に出さなくなる。
言葉は潤滑油です。習慣化しましょう。 - 相手の変化に関心を持つ
→髪型、服、口調…「最近変わったね」と気づくことが大切。
観察は愛情の一形態です。 - “時間の共有”を意識的に増やす
→映画、散歩、食事。内容より“共に過ごす”ことが重要。 - 愚痴より事実で話す
→「あなたは冷たい」ではなく「〇〇の時に寂しかった」。
感情ではなく“出来事”で伝えることで衝突を防ぎます。 - “第三者の視点”を持つ
→友人やカウンセラーなど、外部の視点は関係の鏡になります。
まとめ|「夫婦関係は、生き物のように変化する」
夫婦関係は“維持するもの”ではなく、“育て直すもの”。
10年、20年経てば、人も環境も価値観も変わります。
それに気づかず、かつての形を維持しようとするほど、
関係は窮屈になってしまうのでは。
「他人にはわからない」
それが夫婦の本質。
でも、“お互いにわかろうとする努力”をやめた瞬間、
夫婦は他人に戻るのかも。
安定の裏に潜む小さな不満を見逃さず、
「終わり」ではなく「再出発」のきっかけにできるかどうか。
そこに、長年連れ添う夫婦の“本当の愛情力”が問われているのかもしれませんね。
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