メルカリ側の狙い（なぜ規約変更するのか）と、その実務・経営インパクト、出品者が取るべき現実的な対策

2025年10月1日2025年10月3日

今回の規約変更におけるメルカリ側の考えをどう見ますか？

社会的な転売への風当たり、会社の信用、もしかしたら行政からの圧力などが考えられます。

今ある情報から普通に考えれば、副業で転売せどりをメルカリで行っている人→メルカリを追い出せる→メルカリShops開設は大変→ラクマ、ヤフーフリマ、ヤフオクへ移行する

となりますよね。

これってメルカリにして大打撃ではないのでしょうか？

・

メルカリは手数料ビジネスですから参加者が減れば当然収益が減ります。

転売せどりを行っている人は数も多く、単価もそれ相応かと思われます。

ですが、それでも断行するにはメルカリ経営陣なりの戦略があり、短期の痛手に耐えられる資本力があるのものと推測されます。

・

あくまでも私個人での推測での話としてお読み下さい。少々ビジネス的な言葉も使わせて頂きました。

メルカリが規約を変更を“考え得る”理由（メルカリ側の視点）

◆社会的・行政的リスク回避
転売ビジネスに対する社会的な批判や行政の監視（頻繁な転売・転売業者による市場混乱や違法商材流通など）に対して、プラットフォームが“事業者と一般ユーザーを明確に分ける”ことは企業のレピュテーション（信用）維持のため合理的な措置です。公式の利用規約改定では「事業者はShopsへ移行を求める」旨が明記されています。

◆コンプライアンス（税務・許認可）対応の強化
事業者をShopsへ誘導することで、出店審査や書類提出（開業届・青色申告決算書・古物商の提示など）を通じて“事業実態の把握”や脱税・違法取引の抑止が可能になります。これによりプラットフォーム全体の信頼性が上がり、投資家・行政・主要決済パートナーに対して説明しやすくなります。複数の解説記事やFAQでも、Shops開設に実績書類が求められる旨が報告されています。

◆マネタイズ構造の再構築
Mercari（個人フリマ）とMerccariShops（事業向けEC）の棲み分けで、手数料体系や出店課金を最適化しやすくなります。事業者をShopsに集約すれば、出店手数料・ショップ向けの課金サービスでより安定したB2B的収益が狙えます（長期的なビジネスモデルの安定化）。過去の手数料改定の例も、収益構造の見直しが背景にありました。

現実問題として起きうる短期的な悪影響

◆短期間での移行は困難
個人で副業的にやっている出品者の多くは「開業届・青色申告・古物商」などをすぐ用意できない。審査で実績書類を求められるものもあるため、即時にShopsへ移れない人が一定数予想されます。結果、短期的にメルカリ上の出品数・流通総額（GMV）が落ちる可能性があります。

◆他プラットフォームへの流出でメルカリの取引量減少
移行できない出品者はヤフーフリマ、ヤフオク、ラクマなどへ移る可能性が高く、短期的な競合プラットフォームの活性化が起き得ます。ユーザーが減れば手数料収入やプロモーション収入の衝撃は無視できません。コミュニティでも「急すぎる」「対応できない」という声が上がっています。

◆「自分で自分の首を締める」リスクは存在する
上場企業としては短期的なGMV減が株主や市場に説明しづらい側面はありますが、経営判断としては“一時的な痛みを受け入れて将来の安定（規制対応・信頼性）を取る”ケースもあります。

つまり「短期の損失を容認して長期の安定を狙う」戦略の可能性が高く、単純に“愚か”とは断じられません（ただし実行の仕方次第で自傷的になるリスクは確かにあります）。施行日や移行の案内が出されていますが、運用と移行サポートがポイントとなります。

今できる（現実的で即効性のある）出品者向け対策

短期（すぐやるべき）

出品中の商品の重要度・在庫量を見直す（高回転・利益率低のモノは優先的に現金化）
メルカリからの通知・公式発表を再確認 → 規約の変更点（事業者定義、施行日、申請期限）を把握。公式ページをブックマーク。
代替販路にアカウントを作る（ヤフオク/ヤフーフリマ/ラクマ/BASEなど） — すぐに延命作業。

中期（今〜数か月で準備）

メルカリShops開設のために必要な書類を準備（開業届の検討、青色申告の準備、古物商の取得の可否確認）。審査要件は複数あり、事前に確認。
会計の整理（売上・経費の区別、確定申告の相談）。必要あれば税理士や開業支援の窓口で相談。
自社ECなど、依存先を分散するための選択肢を検討。

長期（体制化）

事業化するか否かの判断（続けるなら個人事業主登録、法人化も検討）。
複数販路でのブランド・在庫管理の仕組み作り（在庫連携ツール、受注管理システム導入など）。
プラットフォームに依存しない顧客資産づくり（メール/LINEでのリピーター施策、自社ショップの育成）。

メルカリ経営判断は「短期痛み×長期安定」を狙っている可能性が高い

“出品者を追い出して他へ行かせる”というシナリオは短期的に自社の流通額を減らすリスクがあります。

しかしメルカリが得られる長期的メリット（行政対応、企業信用、安定した手数料収入、既存顧客への信頼維持）は経営判断として考え得るため、「一時的な自傷」を覚悟して（あるいは緩やかな移行策を伴って）実行している可能性があります。

公式は移行のための告知を出しており、システム改修の案内も出ていますが、出品者保護と移行支援の度合いが評価の分かれ目になります。

【不安より準備】メルカリ規約改定に向けて今できる行動！不安は行動でしか消えない｜規約変更前に進めたい販路拡大と備え方

最後に出品者へ

結論：メルカリ側には「信頼性・規制対応・安定収益化」を優先する合理的な動機がある一方で、実行次第では短期的に大きな流出と混乱を招くリスクがある。「自分で自分の首を絞めるのでは？」という危惧は合理的だが、メルカリは長期的な経営・規制リスクを見て判断している可能性が高い（短期損失を容認する戦略）。